文化学園服飾博物館で開催されている「民族衣装 ー異文化へのまなざしと探求、受容ー」展を見に行ってきました。日本を中心に、国内外における「異文化」の捉え方やその扱いの変遷を、史料と蒐集による実物をもって詳しく知ることのできる内容です。
例によって「民族衣装」の文言に惹かれ参じたわけですが、大航海時代を皮切りに「異なるもの」に対する羨望と好奇心が高まっていく過程、そして未知なる土地を伝聞から想像し書き記した文献など、当時の人がどういった心もちで異文化に対峙していたか?という見地に触れ、ふと我が身をふりかえったり。
はじめは興味関心が先行した出版物が多く見られるものの、時代を下るごとにその情報は精確さを増し、当該の地に暮らす人々の生活を知る手立てとしても活用された「土地の装い」。フィールドワークによって集められた衣服たちは「現地で作られたもの」というばかりでなく「実際にその地域・民族の人が日常で纏っていたものを譲り受けた」などのキャプションが付され、入手にまつわる物語にも心震えるものがありました。
更に時代を経ると、今度はハイブランドのコレクションなどで民族衣装由来の表象が用いられるようになり、一部では「文化の盗用」にあたるのではないか?との指摘も出るように。このあたりは、近年「日本的なるもの」がどういったメッセージを伴って発信されているか?という部分にも関わるポイントかもしれないな…と感じました。文化は決して一方通行ではなくて、相互に作用しあっているのではないかと思うのですね。
会期は来年2月7日まで。「民族衣装」と一言で表すと万国旗のように普遍的なイメージが付いて回りますが、同じ国でも地域や属する民族によってその装いは様々。それらの細かな差異についても触れられています。