冷たい雨の啓蟄となりました。これを機に暦は丁卯月を迎え、三寒四温をくりかえしつつだんだんと春めいてゆくのでしょう。雪になるかいいや雨だと何度も天気予報を確認しながら、新生活の準備にあわただしい方も多いかと思われます。じわじわ湧きだす期待に胸膨らませるこの時期に寄せて、本日はネイルのブログをお届けします。
それぞれ、丁は陰の火・卯は陰の木に種別される干と支。地支が天干を生じて「木生火」の関係性で結ばれています。
燦然とかがやく「丙」とは異なり、静かにぼんやりと対象を照らしてくれるのが「丁」の灯り。それはまるで暖炉の火のように影を落としながらゆらめき、妖しく神秘的な雰囲気をもって私たちを魅了します。
いっぽう「卯」は自然界において野に咲く草花にも喩えられる存在。淡い可憐さの反面、こちらが驚くような根気強さを見せたりなど、意外なギャップが印象的な干支です。
この両者が合わさる「丁卯」はスマートな社交家が多く、しかし誰にでも広く好かれるようなカジュアルさ…というよりはコアな(こういうのって私にしかわからないと思うの)といった風な特別感をもって無二の地位を確立する存在。そんな「丁卯」になぞらえて私が今月身に着けたネイルはこちらです。
イメージしたのは「萌ゆるみどり」の健やかさ。華奢でたよりない風情を打ち消すかのように一面に、一斉に天を衝くさまは、時に折られ踏みにじられる可能性すら感じていないかのような勢いがあります。
そして、それは時に野火のようにどこへ広がるかわからないような危うさを秘め、私たちを圧倒するのです。音もなく、覆しがたい変容がふつふつと始まっている…白地に粗い筆でしゅっと立ち昇るようなビリジアンのアートでもって、それを反映させたかたちです。