10月8日は寒露。暦はこの日から庚戌月へと切り替わります。日暮れもいっそう早まり、気がつくと辺りがまっくら…なんてことも多くなるこの時期。「寒露」とは草木におりた露が寒さで霜に変わりそうなころであることを指すものだそう。上着の前をぎゅっと合わせたくなるような季節の到来です。
本日はネイルのブログ。庚戌月を心地よく過ごすために私が身に着けたデザインをご紹介してまいります。天干と地支それぞれを見てみますと「庚」は陽の金、「戌」は陽の土に分類され、地支の土が天干を後押しする「土生金」の関係性で結ばれています。
庚は芯が強く気風のいい「竹を割ったような」潔さを感じさせる存在。自然界では鉄や鋼といった金属・鉱物になぞらえて解されることが多いように思います。一方の「戌」はといえば、じっくりと煮詰められた雰囲気や含蓄あふるる佇まいが魅力。
ふたつの性質がまじりあい、表裏のない誠実さと底知れぬ深みが同居する妙味こそ、庚戌の「惹き」ではないかなと思います。そんな庚戌をイメージしたネイルがこちら。
パッと見は赤茶色とベージュのシンプルな組み合わせですが、よく見れば下地にオーロラフィルムがチラチラと輝いたり、糸のように細くゴールドのラインが引かれていたりと(なんか、ちょっと違う)と感じさせる細工が織り込まれているデザイン。
金属や革製品が経年とともに味が出て風合いを増すような、アンティークな雰囲気やエイジングの美しさを意識してみました。
統一感や画一性がありつつも、扱いや用途にその人の面差しや心根が現れるために、かえって個性が際立ってしまう…そんなイメージ。愛着を持ってよく使いこまれた道具から放たれる鈍い光のようなものが感じられる「庚戌」にヒントを得て、物事の幅や道行きを味わえる月になればと思います。