khushi-art blog

खुशी khushi クシーの意味は喜びや幸せ。描いたり占ったり。

丙午×壬寅 ネイル考

6月6日は芒種。芒(のぎ)とは聞きなれない字ですが、稲や麦などといった穂先のある植物の先端に伸びる針状の突起のことを指します。生長の過程でこの「芒」を備える植物たちにとって、今がちょうど種まきどきであることからこの名がついたそうで、この時期を境に午月が幕を開けることとなります。

今月の干支は丙午。天干の「丙」は陽の火にあたり、自然界においては太陽のごとき存在と呼びあらわされます。加えて、地支の「午」もまた陽の火を象徴する組み合わせ。天干・地支いずれも明朗で闊達なイメージがともないます。午時とは「正午」と呼ばれるように真昼のことを指しますから、南中する太陽の様子を思い浮かべると、この丙午という干支の意味するところがよりイメージしやすくなるのではないかと思います。

文字通りその日その瞬間こそが最高到達点であり、時が経てば西へ傾き、あくる日になればまた東からぐんぐんとその高度をあげるであろうことを、私たちは露ほども疑いはしません。高度や速度を観測し時や季節の経過をたどる…などといったことはあくまでただ束の間を生きるこちら側の事情に過ぎず、いつもただひたすらにそこに在る。基軸としての掛け値ない風格こそが、丙午のありようのひとつといえるのではないでしょうか。

そんな丙午のあるがままの姿態を反映したところの、今月のネイルはこちら。主に中指・薬指に配した暖色系の色味によって火行を取り入れたかたちです。

たとえば零れる薔薇の花弁や、滴るような桃の果皮。

思い描いていたのは、ベルベットのようにソフトな艶を纏った薔薇の花弁や、繊細なうぶ毛に包まれた桃の果皮に滲む「赤」の色。何かの対比によってその色に名前がつくのではなく、その瞬間「そこ」にしか存在しえないのではないか?と、何度も見て確かめたくなるような説得力を放つことこそ、丙午らしい「赤」ではないか?というのが私の見立てです。

陽光の鮮烈さと同時にたゆたう陽炎の様子も反映させたくて、トップはマットコーティングにしてもらいました。射るような太陽のまなざしは、ここ2年ほど家の中でひっそりとしていた私たちには少しひりついたものに感じられるかもしれません。いきなりすべてを元の通りに!と、止まっていた時計を動かすべく気が急くような向きもあるかと思いますが、まずは水慣れから。おだやかに順応するべく爪先から夏を感じていけたら…などと考えています。

6月の鑑定スケジュールを更新しました。ご案内はこちらからどうぞ。6月20日までの期間限定メール鑑定「凸と凹」も引き続き受付中です。