khushi-art blog

खुशी khushi クシーの意味は喜びや幸せ。描いたり占ったり。

菩提樹の粒をたぐる

Twitterでロサールについて書いたので、本日はそれにまつわる話を少しだけ。

むかし、夫の高校時代の友人のお宅を訪ねたことがありました。ちょうど向こうに帰省している最中で、その友人のご実家近くを通りかかったため「◯◯さんいますか?」と夫が電話をしたんですね。

電話口にお出になったのは友人のお母さま。「ごめんなさいね、今◯◯は韓国で働いてるから不在なの。でも、せっかくだからお茶でも飲みにいらっしゃいよ」とお誘いをいただき、タクシーに乗って向かいました。

到着してドアをノックすると、にこにこと可愛らしいお母さまが黒いカーディガンに袖を通しながら階段を降りてきてくださいました。お足元にカラフルな縞模様の布を纏っておられるのを目にして、こちらはチベット系のお家なのだな、と私もふんわりと理解をしました。

お母さまがお茶の用意をしてくださっている間、私たちが通されたのはリビングや応接室ではなく仏間。うかがったのはお昼間だったものの、祭壇にはあかりが灯され、隅々まできりっと磨きあげられたお部屋からは、こちらのご家庭の信仰心のあつさがうかがわれました。恐らくですが、我々のような異教徒をそのお家の神様の前に通すことこそ、お母さまの歓待のお気持ちの表れであったのでしょう。

その後、温かいお茶をいただきながらしばしの間思い出話をたのしんだ我々。あの方々がどの民族だったのかすら知らぬまま、今のような状況になってしまいました。しかし、ロサールときくと私はルドラクシャの粒を依りながらにこにこと頷いていたあのお母さまのお顔が思い浮かぶのです。