khushi-art blog

खुशी khushi クシーの意味は喜びや幸せ。描いたり占ったり。

己未×癸卯 ネイル考

本日は七夕。お天気に「良すぎる」なんて言い方をするのもちょっと可笑しいんですけれど、梅雨はいったいどこへやら?と思うような暑さが続いています。二十四節気では「小暑」と呼ばれるタイミングですが「大暑(※23日です)」と言われても不思議ではないような数字が天気予報にずらりと並び、見ているだけで頭がくらくらするほど。どちらさまも、お出かけの際は十分にお気をつけくださいね。

今月の干支は「己未」と、天干も地支も陰の土にあたる要素どうしの組み合わせ。「己」は均され平坦な大地を指し、「未」はというと鬱蒼と茂った木々の枝葉がまわりに影を落とす様を想起させます。

苛烈な夏のうちにありながら、どこかほの暗く涼やかな雰囲気が漂うのは、日差しの強さに比例するかのように描き出される影の輪郭もくっきりと濃くなるから…かもしれません。淡々と物静かな印象のその奥に、一本筋の通った意志を秘めた存在。

そして、この「己未」という干支について考えるとき、私の脳裏にいつも浮かぶのは安部公房『砂の女』という作品。さらさらと風に飛ぶように軽いのに、降り積もればたちまち重く、ずしりとこの足に吸い付いてくるようなあの感じこそ「己未」の変幻自在さをあらわしているような気がするのです。

暑さを少しでも紛らわせれば…と、しまっていたサンダルを外に出しましたら、おそらく昨年の夏に海でくっつけてきたであろう砂がぱらぱらと玄関のタイルに落ちました。持って帰ってくるつもりなど毛頭なかったのに、いつのまにか、そこに入り込んでいる。「土」の五行の持つそんな一面を垣間見る思いです。

さらさら、きらきら


そんな「己未」をイメージした今月のネイルがこちら。ラメはラメでもより繊細な微粒子のものをえらび、艶は残しながらもパウダリーな印象になるよう気を配りました。爽やかなトーンで、けして主張は強くないけれど、しかし確かに記憶に残る感じ…というのでしょうか。位相においても今年の干支である「卯」と今月の「未」は引き合う関係性であることから、少しエスニック感のあるスタッズで木行を取り入れ、エッジを効かせた形に。

うつつか、幻か…そんな神秘的なムードを纏う「己未」によせて、余計な力は抜きながら、どうにかこの夏を渡ってゆきたいものです。