ハミングが聞こえる

「なんだか、耳がキーンとする…」あるとき、出先で車を降りると同時に、子どもが顔をしかめてそんなことを言いだしました。しかし、私の耳には何も聞こえず。周囲をよく見てみると、どうもお店の手前に設置してある機械からモスキート音が発せられていたようなのです。図らずも、自分が「対象年齢」からとうの昔に外れていることに気づかされた形。

そして、これと同じような事象は世の中に溢れているのかもしれないな、なんてことを思いました。たとえば、ふと目にした広告のキャッチコピーや歌の歌詞が「刺さる」などといった風に。ある年代や層に照準を絞って発せられるメッセージというのがあるのでしょうし、他方、同じ内容であってもタイミングひとつで耳障りな説教やノイズだと判断される場合もあります。もちろん、象徴の意図を読み取り言葉で相手に伝える「占い」という表現もその例に洩れません。

ただ、マス向けの表現とは違い、占いの受け止めはあくまで個人的なもの。そして、渦中ではなかなか浸透しづらかった言葉が、後になってよく聞こえるようになる場合もあります。（可聴域が広がる、というのでしょうか）経年とともに現実に空気をふるわす音は聞こえづらくなっていったとしても、心に染み入る言葉が増えてゆくならば心強いことです。

時おり、過去に受けた鑑定のメモを見返すと（ちゃんと先生はこのとき、そう言ってくださっていたんだなぁ）と思うこと、しばしば。と同時に、こちらの可聴域が変化したあともなお、まっすぐに心に響く言葉のありがたみを噛みしめます。

この頃はたくさんの人が文章を書くようになりましたし、動画やイラスト・音楽など、届けられる表現の形態も多様化しています。そんな中で、たとえば大事な相談をもちかける相手に、あなたならどういう言語体系で語ってもらいたいか？そんな視点をもってみると、きっとあなたにとっていい先生に出会えるのではないかなと思います。