「ふふふ、眠いです？」起き抜けの寝ぼけ顔を下げてスポーツジムのチェックイン手続きをしていると、受付の女性にそう尋ねられました。…ええ、とても眠い。年末の忙しさが年明けになって突如ゆるんだせいか、食っちゃ寝を繰り返す放埓な正月を過ごし、留まることなくたるたると緩んだ身体。髪の毛は伸び放題ですし、カラーリングも色褪せてところどころに白髪がちらついています。今朝、ごろごろとソファを行ったり来たりしながら立てた卦は「風雷益・上爻」…増加の一途に歯止めをかけなければ、とジムのドアを押し開けたのです。
身体を動かし始めてしまえばなんてことはなく、錆びつき動きづらくなった関節が油を差されたように喜びだしているのがわかります。風雷益の上爻は私利私欲の為政者が好き放題にしているような状態。人心は離れ、いつ天誅が下ってもおかしくないような有様です。
しかし、為政者どころかあいにく私の身体が縦横に広がってもご親切に諫めてくれるような他者はありませんので、そうなる前に易のお力を借りて運動靴に履きかえるというわけ。
思えば小さい頃から運動そのものは嫌いではありませんでしたし、走ったり泳いだりも得意な方でした。しかし、長ずるにつれ部活動や大会などいわゆる「体育会系」と評される雰囲気が合わなくなり、みるみるインドア派に。大人になってひとり黙々と身体の感覚と向き合えるようになった今、ようやく動くことの楽しさを噛みしめています。
